本の中のダンスシーン         2013.5.24 小林 勝

 

 ダンス・ダンス・ダンス  村上 春樹(むらかみ はるき  講談社

 

   ダンス・ダンス・ダンス   講談社(上・下 2巻)

 

 『ノルウェイの森』がザ・ビートルズの曲名であるのと同様に、『ダンス・ダンス・ダンス』もアメリカのバンド、ザ・ビーチ・ボーイズのヒットソング名でもある。村上本人はこの小説のタイトルの由来について、「どちらでもいいようなものだけど」と前置きしつつも、「ザ・デルズ (英語: The Dells)という黒人バンドの曲名から取った」と述べている。これは、村上が渡欧前に日本で作り持って行った自作オールディーズテープに偶然入れていて、なんとなく聴いているうちに題名に使うことを思い立ったとのことである。【ウィキペディアから引用】

 

「突っ張ってるわけでもないんです」と僕は言った。「ダンス・ステップみたいなもんです。習慣的なものです。体が覚えてるんです。音楽が聞こえると体が自然に動く。回りが変わっても関係ないんです。すごくややこしいステップなんで、回りのことを考えてられないんです。あまりいろんなことを考えると踏み違えちゃうから、

ただ不器用なだけです。トレンディーじゃない」

 

 「でも君は僕を呼んでいた。だからこそ僕は君に会うために いるかホテルまで行った。そしてそこから・・・・・・いろんなことが始まったんだ。前と同じようにね。いろんな人間に会った。いろんな人間が死んだ。ねえ、君は僕を呼んでいたんだろう? そして君が僕を導いたんだろう?」

 「そうじゃない。あなたを呼んでいたのはあなた自身なのよ。私はあなた自身の投影にすぎないのよ。私を通してあなた自身があなたを呼び、あなたを導いていたのよ。あなたは自分の影法師をパートナーとして踊っていたのよ。私はあなたの影にすぎないのよ。」

 僕は彼女を絞めているあいだ、これは自分の影なんだと思っていた、

             、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

と五反田君は言っていた。この影を殺せば上手くいくんだと思っていた。

 「でもどうしてみんなが僕の為に泣くんだろう?」

 彼女はそれには答えなかった。